【第3話】 圧倒的なレベルの差
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A高校に進学する事は早い段階で決めていた。
中学の時の体操部の監督が元体操選手だった繋がりで
A高校にたまに練習をしに来ていたので
馴染みもあったから。
さらにA高校は全国のトップレベルの選手が
沢山出ている有名校でもあった為
沢山出ている有名校でもあった為
どうせやるなら、そういうところで学びたい
という気持ちもあったからだ。
(あとは、進路を色々考えるのが面倒だったから(笑))
本当はもの凄く怖い気持ちも
あったが、中学の時の先輩が二人ほど
A高校に進学し、体操部に入っているのを
知っていたので支えになっていた。
入学し、初めての練習に参加した時
信じられない程、緊張していた。
そして、中学の時とはレベルの差が
圧倒的すぎて完全に怖気ついていた。
皆、小学校低学年以下の
幼少の頃から体操クラブに通い、
そもそも身体の作りが根本から違う、
やっている技も次元が違う、そんな異空間だった。
なんかジャージとかも、「ALL JAPAN」とか
書いてあって、いちいちカッコいい。
存在感を消すように
練習場の隅っこの方で
中学の時はまともにやってこなかった
柔軟ストレッチをしていると僕を呼ぶ声がした。
「おーい、こっち来なよ!!こっちの方が広いよ!」
フロアの真ん中で先輩達に混ざり
堂々とストレッチしている
同じ年のHだった。
Hの事は実は以前から知っていた。
(あちらは僕の事は知らなったと思う(笑))
HもA校の体操部先輩達のように
幼少から体操を学んでおり、
僕のように中学からスタートしたメンバー
とは次元の違う実力があった。
だから中学の時の県大会でいつも
圧倒的な技を繰り出し、優勝が当たり前だった。
(ちなみに彼は中学時代に全国での優勝経験もある)
そんなHに対して僕は、
同じ年にも関わらず、中学時代の県大会では
気軽に声をかける事すら出来なかった。
そんな僕にとっての憧れのHが
まさか同じ空間で一緒に練習をしているとは・・・。
それだけで誇らしい気持ちになった。
(そんな事、Hは知らないと思うけど(笑))
続く・・・